この記事では、オープンソースの3DCADソフトウェア「FreeCAD」を初めて使う方向けに、
そのインストールと基本操作を、簡単な立体の作成を交えて解説しています。
本記事の内容は、「FreeCAD 0.21」からはじまるバージョンに対応しています。
目標
この記事では、スケッチを用いた立体の作成を含む、FreeCADの基本操作ができるようになることを目標としています。
導入
FreeCADの公式ダウンロードページ(外部ページ)から、自分のPCのOSを選びダウンロードします。
![Freecad 21 1 Downloadpage](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-DownloadPage.png?resize=1024%2C583&ssl=1)
ダウンロードが完了後、ダウンロードしたファイルを実行します。
インストーラーが開くので、指示に沿ってインストールします。
基本操作
以降では、スケッチの作成とその立体化を通した、FreeCADの基本操作を解説しています。
準備
FreeCADを起動すると、最初に以下のような「スタートページ」が表示されます。
はじめに、ここから「新規作成」をクリックして、新しいファイルを作成してみましょう。
![Freecad 21 1 Start](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-Start.png?resize=1024%2C619&ssl=1)
クリックすると、以下の画像のような画面が表示されます。
この画面における、青紫と白のグラデーション(初期設定)の部分を3Dビューといいます。
作成した平面や立体などはここに表示されます。
![Freecad 21 1 Planedocument](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-PlaneDocument.png?resize=1024%2C619&ssl=1)
次に、スケッチ・立体の作成の準備を行います。
まず、必要なツールを利用できるようにするために、FreeCADにおける作業モードである、「ワークベンチ」を切り替えます。
FreeCADのウィンドウ上部から、 Start▾ を探してみてください。
![Freecad 21 1 Workbenchselector](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-WorkbenchSelector.png?resize=449%2C243&ssl=1)
このボタンは「ワークベンチセレクター」といい、ここから先述したワークベンチを切り替えることができます。
ワークベンチセレクターをクリックして、Start▾から、
Part Design▾に切り替えます。
![Freecad 21 1 Workbenchselector2](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-WorkbenchSelector2.png?resize=706%2C406&ssl=1)
これで、ワークベンチの切り替えは完了です。
ワークベンチは、作業分野ごとにまとめられたツールのグループです。
ワークベンチを作業分野に合わせて適切に切り替えることで、
その作業に適した画面・ツールバー表示に切り替えることができます。
すなわち、FreeCADにおける「作業モード」のような仕組みです。
今回使用するワークベンチの一つである、Part Design▾ワークベンチには、
「スケッチ」と呼ばれる平面の設計図から、複雑な構造物を設計することを目的としたツールが集まっています。
- 参照ページ(FreeCAD公式Wiki):https://wiki.freecad.org/Manual:The_FreeCAD_Interface#Workbenches
ボディー・スケッチの作成
続いて、このワークベンチにおける、単一の連続した立体を作成するための基本要素である「ボディー」を作成します。
左のコンボビューに表示されている、「ボディーを作成」をクリックします。
ボディーは、Part Design▾ ワークベンチを使用して、単一の連続した立体形状を作成するための基本要素です。
これを作成すると、座標軸のX・Y・Z軸と、座標平面のXY・XZ・YZ平面が、
ボディーの子要素として作成されます。
![](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2020/12/Body-Origin1.png?resize=668%2C605&ssl=1)
立体形状は、これらの座標平面上に作成したスケッチから作成を行います。
なお、ボディーは1つにつき、単一の立体のみを含むことができます。
例えば、ボルトとナットを作成する場合、
それらには、それぞれ1つずつ、計2つのボディーが必要となります。
1つのボディーに2つ以上の立体を含めようとした場合、エラーが発生します。
![Freecad 21 1 Createbody](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-CreateBody.png?resize=674%2C586&ssl=1)
「スケッチを作成」をクリックします。
![Freecad 21 1 Createsketch](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-CreateSketch.png?resize=677%2C468&ssl=1)
この画面から、スケッチを描く座標平面の向きを指定できます。
![Freecad 21 1 Chooseplane](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-ChoosePlane.png?resize=1024%2C619&ssl=1)
今回は、左部コンボビューから、「XY_Plane(ベース平面)」をクリックして選択し、OKをクリックします。
![Freecad 21 1 Chooseplane2](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-ChoosePlane2.png?resize=511%2C767&ssl=1)
OKをクリックすると、ワークベンチが Sketcher▾ (スケッチャー)に切り替わります。
ここから立体の設計図となるスケッチを描くことができます。
![Freecad 21 1 Planesketch](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-PlaneSketch.png?resize=1024%2C619&ssl=1)
以降の画像では、3Dビューにグリッドが表示されているものがありますが、手順では表示されていなくても問題ありません。
グリッドは、ツールバー内の「Toggle Grid」ボタンにより、表示・非表示の切り替えを行うことができます。(FreeCAD 0.21.1の場合)
![Freecad 21 1 Grid Toggle](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/10/FreeCAD-21-1-Grid-Toggle.png?resize=525%2C382&ssl=1)
スケッチを開いても、グリッド(方眼)が表示されない場合は、
コンボビュー内、タスクタブに表示されている、「Edit Control」バーをクリックして展開し、
「グリッドの表示」のチェックボックスを有効にします。
![](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/12/to-show-grid-freecad.png?resize=429%2C430&ssl=1)
マウスでの操作(3Dビュー)
以降で行うスケッチの編集では、以下に示している、マウスによる3Dビューの操作方法を使用します。
※デフォルト設定の場合のマウス操作方法です。
選択
選択したい辺、点、面などにカーソルを合わせ、
左クリックすると対象を選択できます。
Ctrlキーを押したまま操作すると、複数選択ができます。
視点の移動
マウスのホイールボタンを押しながらマウスを動かすと、視点を平面的に移動できます。
縮尺
表示の縮尺は、マウスホイールを上に回して拡大、下に回すと縮小できます。
視点の回転
マウス中央ボタンを長押ししつつ、マウス左ボタンか、右ボタンを押しながらマウスを動かすと、
マウス中央ボタンを押した位置を中心とした、立体的な視点の回転を行うことができます。
3Dビューの誤操作により、縮尺や視点をリセットしたい場合には次の方法が利用できます。
縮尺のリセット
上部ツールバー左上の、「全てにフィット」をクリックすると、縮尺がリセットできます。
視点のリセット
上部ツールバーにある「上面ビューに設定(2)」をクリックすることで、視点の向きがリセットできます。
スケッチの編集
ここからは四角形の描画を例とした、スケッチの編集手順の解説を行います。
ツールバーにある、角に赤い点が2つついた四角形のマークをクリックします。
![Freecad 21 1 Sketchcreaterectangle](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-SketchCreateRectangle.png?resize=1256%2C303&ssl=1)
カーソルが赤い四角形になれば準備完了です。
スケッチ上のお好きなところでマウスを左クリックすると、その位置に四角形の一点が設置されます。
次にカーソルを移動し、適当な大きさにした後、再度左クリックをすることで、
四角形の対角点が設置され、四角形が描画できます。
![Freecad 21 1 Sketchcreatedrectangle](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-SketchCreatedRectangle.png?resize=1024%2C602&ssl=1)
描画ツールを解除したい場合は右クリックします。
以上で、今回のスケッチの編集は完了です。
スケッチャーの終了時は、コンボビューのタスクタブから閉じるをクリックします。
図形の削除
スケッチに作成した図形を削除したい場合は、はじめに対象のスケッチをスケッチャーで開きます。
次に、削除したい図形をマウスでドラッグして囲み、選択状態にします。
下の画像のように、図形が緑色で表示されていれば、その図形は選択状態になっています。
![](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2024/03/Select-for-delete-edited.png?resize=485%2C485&ssl=1)
図形はこの状態でDeleteキーを押すことで削除できます。
また、その他の削除方法として、コンボビューのタスクタブ内にある「要素」リストから削除したい図形を選択し、
Deleteキーを押すか、右クリックして「削除」をクリックすることでも図形の削除が可能です。
「要素」リストの項目は、Ctrlキーを押しながらマウスでクリックすることで複数選択が可能です。
![Freecad 21 1 Sketchdeleteobject](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-SketchDeleteObject.png?resize=583%2C993&ssl=1)
スケッチを立体にする
ここからは、先ほど作った四角形のスケッチから立体を作成します。
スケッチを開いたままの場合は、コンボビューの閉じるなどでスケッチを閉じます。
ワークベンチがPart Design▾になっていることを確認しましたら、コンボビューのタブを「モデル」に切り替えます。
コンボビュー内の「Sketch」を1回クリックして選択します。
![Freecad 21 1 Selectedsketch](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-SelectedSketch.png?resize=439%2C405&ssl=1)
上部ツールバーのアイコンから、「パッド」を探してクリックします。
![Freecad 21 1 Padsketch](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-PadSketch.png?resize=937%2C579&ssl=1)
コンボビューに表示されたパッドパラメーターから、厚み付けの設定を行います。
ここでの「長さ」は立体の「厚さ」のことで、厚さ何mmの立体にするかを設定できます。
※単位は変更可能です
![Freecad 21 1 Padsketch2 1](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-PadSketch2-1.png?resize=1024%2C515&ssl=1)
「面に対して対称」にチェックを入れた場合、画像のように、白線で表示されているスケッチの上下に等しく厚みができるように立体が作られます。
![](https://i1.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2019/10/freecad15.png?fit=1024%2C685&ssl=1)
また、「逆方向」にチェックを入れると、通常、スケッチの上方向に厚みができるところをスケッチの下方向に厚みができます。
今回は他の設定項目については、その有効・無効で結果が変わらないため、
「長さ」だけを設定して、OKをクリックします。
コンボビューのモデルタブに、立体の項目「Pad」が追加されていれば成功です。
![Freecad 21 1 Createdpad](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-CreatedPad.png?resize=1024%2C638&ssl=1)
要素の非表示
![](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2020/05/non-display.png?resize=130%2C29&ssl=1)
複数の立体やスケッチなどの要素がある環境下では、3Dビューが見づらくなってしまうことがあります。
立体・スケッチなどを一時的に3Dビュー上から非表示にしたい場合は、
まず、コンボビューのモデルタブから非表示にしたい対象をクリックして選択します。
![Freecad 21 1 Selectedpad](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-SelectedPad.png?resize=1024%2C593&ssl=1)
次に、 Spaceキーをクリックすることで対象を非表示にできます。
![Freecad 21 1 Hiddenpad](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-HiddenPad.png?resize=1024%2C622&ssl=1)
非表示にした要素は、同様にモデルタブから対象を選択後、もう一度Spaceキーをクリックすることで再表示させることができます。
要素の削除
作成したスケッチ、立体などの要素の削除には、次の方法が利用できます。
コンボビューのモデルタブ内に表示されている、
- 削除したい要素を選択しDeleteキーを押す
- 要素の右クリックメニューから利用できる「削除」をクリックする
上記のいずれの方法でも、同様の結果が得られます。
![Freecad 21 1 Deletepad](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-DeletePad.png?resize=1024%2C700&ssl=1)
保存
現在の編集状況を保存したい場合は、
ウィンドウ上部のメニューバーより「ファイル」をクリックして、
「保存」または「名前を付けて保存」をクリックします。Ctrl+Sキーでも保存できます。
![Freecad 21 1 Savebutton](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-SaveButton.png?resize=633%2C728&ssl=1)
初回の保存の際は、ファイル名と保存場所を指定する必要があります。
保存したい場所を選択して、ファイル名を指定した後、保存をクリックして保存完了です。
出力
上記の手順で保存を行った場合、FreeCAD専用の編集ファイルの形式 (.FCStd)として保存されます。
汎用的な3Dデータの形式 (.stlなど)として保存したい場合は、
まず、保存したい立体を、コンボビューのモデルタブか、3Dビューでクリックして選択します。
今回の記事では、立体としてPadを作成しましたので、「Pad」の項目をモデルタブで選択するか、
3Dビューで表示されているPadの立体の一部をクリックして選択します。
![Freecad 21 1 Selectedpad](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-SelectedPad.png?resize=1024%2C593&ssl=1)
なお、3Dビューから立体を選択する際には、対象の立体の一部(一つの面など)を選択するのみでも問題ありません。
次に、Ctrl+Eを押下するか、上部のメニューバーより、「ファイル」→「エクスポート」をクリックします。
![Freecad 21 1 Exportbutton](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2023/12/FreeCAD-21-1-ExportButton-1024x645.png?resize=1024%2C645&ssl=1)
最後に、表示されたウィンドウから、ファイルの種類・保存場所とファイル名を指定して保存します。
最後に
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
かなり長くなってしまいましたが、うまく行きましたでしょうか。
この記事がFreeCADの第一歩としての一助となれば大変幸いです。
今回の記事では紹介していませんが、スケッチでは四角形以外の図形の描画ツール(多角形、円など)も利用できますので、ぜひお試しください。
記事に分かりにくい部分があったり、ご不明点などがございましたら、お気軽にコメント欄までお寄せいただければ幸いです。
次の記事↓
引用
この記事に使用したアイコンは、以下のFreeCAD公式ドキュメント内のものを使用しています。
https://www.freecadweb.org/wiki/Getting_started
https://wiki.freecadweb.org/Artwork
参考
この記事の作成にあたって、下記のページを参考にしました。
コメント
OKをクリックすると、ワークベンチがSketcher▾に切り替わって、方眼が表示されると思います。
ここから立体を作る設計図となるスケッチを描くことができます。をしても方眼紙が表示されないのはなぜでしょうか?
長谷川さん、初めまして。コメントありがとうございます。
お問い合わせいただいた、「方眼紙が表示されない」事象について、想定される原因と対応策を順にお答えします。
まず、原因と考えられる一つ目が、3Dビューの縮尺が拡大・縮小されすぎている、
または、視点がずれているというものです。
こちらが原因である場合は、ツールバー左上にあります、
「紙の上に虫メガネが描かれたアイコン」をクリックした上で、
3Dビュー右上に設置されているナビゲーションキューブ(サイコロ)を操作して、
“TOP”が正面に見えるよう調節することで、解決できる可能性があります。
なお、本操作についての詳細は、こちらよりご覧いただけます。
次に考えられる原因は、作成したスケッチをコンボビューのモデルタブより、
非表示にしてしまっているというものです。
こちらが原因である場合は、FreeCADのウィンドウ左部に設置されてあります、
“Sketch”と書かれた項目を選択し、
コンボビューをモデルタブに切り替え、
キーボードが半角モードになっていることを確認した上で、
スペースキーを1~2回クリックし、
Sketchの左にあるアイコンが赤(表示状態を表す)になるようにすることで、
解決できる可能性があります。
こちらの操作については、本記事のこちらの箇所が参考になるかもしれません。
上記の2手順をお試し頂いた上で、解決に至らない場合は、FreeCADの再起動、
また、可能であれば、ドキュメントの再作成をお試し頂けますでしょうか。
最後になりましたが、ご不明点などがございましたら、お気軽にご返信ください。
※投稿いただいたコメントの一部を編集いたしました。(O→OK)
コンボビューが画面の幅いっぱいに広がってしまい、作ったモデルを見るのに不便です。
コンビューを左側に戻すにはどうしたら良いでしょうか。
眞下寛治さん、初めまして。コメントありがとうございます。
早速ですが、お問い合わせいただいた、コンボビューの配置を左側に戻す手順について、お答えします。
コンボビューは、コンボビュー上部にある、「コンボビュー」と書かれた灰色の細長い部分を、
マウスでドラッグし、FreeCADウィンドウの左端に動かしてから、離すことで左側の位置に戻すことができます。
最後になりましたが、その他、ご不明点などがございましたら、お気軽にご返信ください。
※頂いた2通のコメントが同一の内容でしたので、1通を消去致しました。