前回の記事に続いて、FreeCADでの「データム平面」の使用例と使用手順を解説しています。
この記事では、Part DesignワークベンチとSketcherワークベンチを用いて、
立体の曲面に接する、もう一つの立体を作成できるようになることを目標としています。
なお、FreeCAD 0.18.4の環境を基に解説しています。
前回の記事↓
立体の点・面・辺に接する位置を基準とした、位置が調節可能な平面です。
通常、スケッチの作成にはX・Y・Z座標を基準とした平面か、立体上の平面が必要となりますが、
“データム平面”を使用することで、立体の曲面上や内部にも平面が作成可能になるため、
自由な位置にスケッチを作成できるようになります。
使用例
“データム平面”を使用すると、例として、下の画像のようなひしゃく型の立体や、ペンのクリップ部を作成することが出来ます。
![](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/hisyaku-example.png?resize=638%2C527&ssl=1)
![](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/pen-clip-example.png?resize=743%2C747&ssl=1)
使用手順
以降では、前述の使用例でご紹介した、ひしゃく型の立体の作成を通して、データム平面を実際に作成する手順を解説していきます。
データム平面は、Part Design▾ワークベンチのツールバーの、青い辺と赤い点の描かれた長方形のアイコンより呼び出せます。
![](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/datumplane-tool-icons.png?resize=528%2C219&ssl=1)
前提
手順を進める前に、半径 60mm・厚さ 70mmの円柱をもとにした、
4mmの厚みのあるソリッドが、Part Design▾ワークベンチを使用して作成されていることとします。
![ひしゃく型の立体の基となる、厚みのあるソリッド](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/datumplane-premise.png?resize=572%2C477&ssl=1)
データム平面の作成
曲面上にスケッチを作成したいので、曲面に接するデータム平面を作成します。
ワークベンチをPart Design▾に切り替えて、立体の内側の円周を選択します。
![選択された立体の内側の円周](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/datumplane1.png?resize=556%2C460&ssl=1)
次に、コンボビューに表示されるパラメーターより、
アタッチメントモードを「フレネ TB」に変更して、OKをクリックします。
![アタッチメントモードを"フレネ TB"に変更する](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/datumplane2.png?resize=869%2C782&ssl=1)
内側の曲面の継ぎ目の辺上に、データム平面の作成が作成されましたら、データム平面の作成は完了です。
スケッチの作成
次に、コンボビューのモデルタブより、「DatumPlane」を選択するか、
3Dビュー上の黄色いデータム平面を選択して、「新規スケッチを作成」をクリックします。
![データム平面の選択](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/datumplane3.png?resize=448%2C366&ssl=1)
ワークベンチがSketcher▾に切り替わり、編集画面が表示されましたら、
曲面を横切っている一辺の補助線を引きます。
![曲面上の一辺に補助線を引く](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/datumplane4.png?resize=571%2C446&ssl=1)
補助線を引きましたら、立体と”DatumPlane”の項目をコンボビューのモデルタブより選択し、Spaceキーを押して、それぞれ非表示にします。
![コンボビューのモデルタブから、立体と"DatumPlane"を選択してスペースキーを押す](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/datumplane5.png?resize=270%2C114&ssl=1)
続いて、半径12mmの円を補助線の近くに描き、補助線と円心を選択し、ツールバーより、“点をオブジェクト上に拘束”をクリックします。
![補助線と円心を選択して、”点をオブジェクト上に拘束”をクリック](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/datumplane6.png?resize=366%2C378&ssl=1)
また、補助線の上端の点と円心を選択し、垂直距離を22mm(円の半径+10mm)に拘束します。
![補助線の上端の点と円心を選択し、垂直距離を22mmに拘束する](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/datumplane7.png?resize=376%2C389&ssl=1)
以上でスケッチの作成は完了です。
コンボビューのタスクタブから、閉じるをクリックするか、ツールバーより、“編集中のスケッチを閉じる”をクリックするなどして、スケッチを閉じます。
押し出し
先ほど作成したスケッチを押し出して、ひしゃく型の立体の持ち手の部分となる棒を作成します。
コンボビューのモデルタブより、先ほど作成したスケッチを選択して、ツールバーより、”選択されたスケッチを押し出し”をクリックします。
次に、コンボビューに表示されるパラメーターの”長さ”を200mmに指定し、OKをクリックします。
![200mmで作成したスケッチを押し出す](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/datumplane8.png?resize=723%2C454&ssl=1)
完了
以上の手順を行った後、3Dビューにひしゃく型の立体が表示されましたら、手順は完了です。
![3Dビューに表示された、ひしゃく型の立体](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/hisyaku-example.png?resize=638%2C527&ssl=1)
お好みで、持ち手の端にフィレットを適用することもできます。
![フィレットが作成された取っ手](https://i0.wp.com/muralnotes.com/wp-content/uploads/2021/03/datumplane9.png?resize=398%2C283&ssl=1)
今回の記事は以上です。最後までおつかれさまでした。
ご不明点などがありましたら、お気軽にコメント欄までお寄せください。
引用
この記事内で使用したアイコンは、以下のFreeCAD公式ドキュメント内のものを使用しています。
https://www.freecadweb.org/wiki/index.php?title=Artwork (外部ページ)
コメント